お酒のはなし3

少し前の話。2018年の6月下旬から9月上旬まで私はブルガリアという国に滞在していた。何をしに行っていたのかは別の機会に語るとして、ここではブルガリアで体験した「酒にまつわる話」をしたいと思う。

 

突然だが、滞在中によく使っていた2つの英語(ブルガリア語は難しくて挨拶以外断念)がある。この2つの言葉で約3か月乗り切ったと言っても過言ではない。

 

I want draft beer

レストランや酒場にて「とりあえず生!」という気持ちで言っていた。一緒にボランティアをしていた仲間たちから、ビールだけは1人で頼めるようになったよねと揶揄されていた。途中から大ジョッキを頼むために「big」をつけるようになる。

 

I want cheap Bulgarian wine

酒屋に入ってすぐに「国産の安いワインがほしい」ってどこへ行ってもでも平気で言っていたので、相当感じの悪い外国人だっただろう。

 

冗談はさておき、ブルガリアは日本より物価が安く、特に国産のお酒がとにかく安くてどこに行っても注目して購入して飲んでいた。際立って安い印象だったのはビールで、売っている水並みに安かったと記憶している。ちなみに水は水道水を平気で飲んでいたので買った記憶がない。初めのうちはお店で缶ビールしか買っていなかったのだが、実はブルガリア ビールってすごく安いと気づいたのはペットボトルに入ったビールを発見してから。売っているのは300ml缶、500ml缶(もしくは瓶)の他、500ml、1L、2Lのペットボトルでも売っていて、一番安いメーカーの2Lペットボトルは日本円でなんと300円程度だったと記憶している。そしてレストランなどの生ビールも安く、大ジョッキ(500ml)が約150円くらいだったので、外食の時はだいたい大ジョッキを頼んで喉を麗していた。ワインも安くておいしいものが多く、衝撃的だったのは道端でワインを売っている露店があったこと。北海道で例えるなら、「スイカ」とか「トウキビ」を道端で農家の人が売っているようなイメージ。場所は忘れてしまったが国外に全く知られていない小さいワイナリ―が無数にあるエリアがあり、そこで作ったワインを空き容器(ペットボトル)に入れて近くで販売しているのだ。地元の人に言わせるとこのワインの方が美味しいとのことだ。

 

酒飲みにとっては夢のような日々で、肉体労働がメインの毎日ではあったがおかげさまで全く痩せなかった。

 

さて、前置きが長すぎてしまったが、ここでブルガリアでのお酒作り体験について話をしたいと思う。この国にも酒造に関する法律はあるらしいが、日本とは違って一定量までは一般家庭でも普通にお酒を作って問題ないようだ。作っているお酒はワインや、この国伝統のラキアという蒸留酒ちなみにラキアの味は同じ蒸留酒で考えると泡盛に近いだろうか。そんな「一般家庭のお酒作り」を運よく体験することができた。

 

2018年9月の話。私はとある場所でホームステイをすることになる。場所は元大関琴欧州の故郷であるブルガリアのヴェリコ・タルノヴォというところ。日本に帰る寸前の最後の思い出作り(と思われていたかはわからないが)ということで、知り合ったブルガリア人に「私の実家へ葡萄酒作りに行かないか?」と誘われ行ってきた。その時に体験したことを紹介したいと思う。

 

作り方は古代からほぼ変わっていないのだと思う。ざっくり説明するとブドウを潰してその果汁をアルコール発酵させるだけ。(ざっくりすぎたか……)

果汁の中の糖分を酵母の力でアルコールと二酸化炭素に分解するのだが、発酵させるための酵母菌は色々と調べるとブドウの表面に天然酵母が付着しているそうなので、別に酵母菌を加えなくても自然と発酵するらしい。今回お手伝いをしたのは「ただ潰して作る」という原始的な製法で、日本とは違う異国の歴史を感じることができた。

発酵させるために必要な適正温度や糖度など、葡萄酒作りに必要なポイントは省略させていただく。レシピではなく、あくまでもこんな道具を使って作ったということを紹介するものとして見てほしい。

 

 

 

家庭菜園で収穫した葡萄などの作物たち

 

ここの家庭秘伝の「謎の葉っぱ」

何のために入れるかもわかっていないと言われてました。

 

これが圧搾機です。手回しで搾っていきます。

 

中に入っていかない時は棒で押し込んでいきます

 

圧搾後の様子

 

錘を乗せて果汁を搾っていきます

 

下から果汁を出し循環させます

 

下から出した果汁を糖度計で計測をしています。この時の葡萄は糖度が足りなかったそうなので砂糖水を作って入れました

 

大鍋に砂糖水を作っています。今回はこれを加えていました。

 

お手伝いしたのはここまで。完成した葡萄酒は飲みに行くことができず残念。

ちなみに、日本では自家製ワイン製造はダメですからね!

醸造許可のない人がお酒を作る際、アルコール度数は1%未満にしないといけないらしいです。

 

※お酒ネタはこれでおわりです